シェイクスピアの鳥類学
2018.04.01 09:00|books|

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ジェームス・E. ハーディング『シェイクスピアの鳥類学』
岡本榮一・高橋昭三訳
"Ornithology of Shakespeare" by James Edmund Harting
めちゃめちゃ濃いです(あはは)。シェイクスピアというと世界的にスーパーウルトラ有名劇作家/詩人で、現在もシェイクスピアを研究しているリサーチャーは多いぐらい、多分歴史上一番といっていいほど研究されている作家ではないかと思われます。シェイクスピアというとその作品を読めば時代背景もあるかとはおもうが、ナチュラリスト的な観察眼を持ち、昆虫学、動物学、鳥類学に精通し、ファルコニャーでもあった証拠がでてくるんですが、その中から鳥類学的な叙述、鳥類に対する正確な観察と適切な引喩、素晴らしく美しい比喩表現などをほじくり出しまくって、シェイクスピアが実際に鷹狩りの知識があったこと、多くのアカデミックなペーパー的なものを読んで知識をもっていたこと、シェイクスピア自身が博物学者であったことを論述していくという、まっこと細かい書です。が、ものすごく面白いです。引用文になってしまった数行の、しかも訳文ですらパワ溢れる美しさ(原文の単語はそのまま載せてあるので、ある程度のテイストはわかる)。やっぱりシェイクスピアすごいなぁ、、と。鳥の箇所ばかり引用しているので、マニアックでものすごく萌えます。鳥好きで、シェイクスピア好きには超超超おすすめ本です。どちらもさほどでもない、と言う人でもマニア的な「うひひ」感は伝わるとおもいますんで、やっぱりおすすめ(どんなんやねん)。読了後もいつも手元に置いておいて、ふとした時にぺらぺらと数ページ目をとおして楽しんだり、音読するのもいいかも。
150種近い鳥が出てきましてヴォリューム満点。

「しらがのひげに免じて」だと、このハクセキレイめ!
『リア王』でケント伯がオズワルトに言うセリフ。ハクセキレイ(wagtail)は尾っぽをワグ(同じテンポで上下とか左右とか同じ方向に振る)するという意味ですが、当時はずうずうしい軽薄な人に対して軽蔑的に使う意味合いがあったらしい。イギリスの多くの地域でハクセキレイは皿洗い(dish washer)と呼ばれているそうで、かなり古い呼称らしい。

”泥沼になった畑のすみの羊小屋にはヒツジの姿はなく、
ヒツジの死体にむらがるハシボソガラスばかり肥えふとる”
『真夏の夜の夢』
腐肉を好む習性にばかり注目された叙述が多い。当時はキジの卵を食べるハシボソガラスは嫌われていて、羊が死ぬとその死体の目や口にストリキニーネを塗り込んでカラスを殺したらしい。
”まったくへらず口ばかりたたいてさ、そのうちハシボソガラスのえさになるだろうよ”
『ヘンリー五世』
そしてハシボソガラスと並べて腐肉死肉を漁る比喩によくつかわれているのがトビ

”クリフォードが死にものぐらいで、わしの馬を殺したのだ。
ところが目には目、奴が大事にしていた駿馬を
腐肉をねらうトビとハシボソガラスの餌食にして
りっぱに仕返ししてくれた。”
『ヘンリー六世』
”ハシボソガラスやトビの群れが、
頭上を飛び回っては、まるで瀕死の餌食ででもあるように
われわれを見下ろしている。”
『ジュリアス・シーザー』

”否も応も、カワセミの嘴よろしく、ただご主人の風向き次第、どのようにも節を曲げ、自由自在に向きを変える。”
『リア王』でケント伯がオズワルトに言うセリフ
死んだカワセミを一本の糸に、注意深く平衡を保たせて吊るすと、その嘴を風が吹いてくる羅針盤の方位にいつも向けると言われていたらしい。
ちなみに当時の資料も引用されていて
オオタカ1羽、ハヤブサ2羽で3ポンド
シェイクスピアが1597年にニュー・プレイスに買ったマンション(豪邸)が60ポンド、、ちゅうことで、
3ポンドでざっくり100万円ぐらいだったかと推測する。
おもろいです。
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